せいふふのブログ

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日本の少子化について

日本が少子化になった背景って、”子供にお金がかかる”、”共働き世帯や晩婚化の増加”等のライフスタイルの変化が要因なんだろうと思ってました。

 

しかし、そもそも本質的な要因が、別にあったことに気付かされたので、ちょっとまとめてみました。(きっかけは木下斉さんのVoicyを聞いたことです。詳細は聞いてみてください。)

 

間違った「少子化対策」が続く原因【1/4】原因を歴史から考える(2023/1/10 #0523) | 木下斉 一般社団法人AIA代表理事/内閣府地域活性化伝道師「木下斉の今日はズバリいいますよ!」/ Voicy - 音声プラットフォーム

 

まず、少子化の現状をおさらい

① 18~65歳までの生産年齢人口は、2021年で7,450万人レベル。これが今後一気にとてつもないレベルで減っていきます。2023年頃には6,500万人で1965年と同じレベルになる。65歳以上は3,600万人、高齢化率は既に30%であり、これからも段階的に伸びていく。0-14歳の比率は世界的には25%である一方で、日本は11%。こんなやばい現状の下、政府は何をしようとしているのかと気になるところ。

総務省|令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少 (soumu.go.jp)

 

岸田さんの異次元の少子化対策とは? 

岸田首相が昨今言い始めた異次元の少子化対策の論点は以下。

  • 児童手当を中心とする経済的支援強化
  • 幼児教育や保育サービスなどの支援拡充
  • 働き方改革推進

「異次元少子化対策」議論スタート 児童手当拡充、財源が焦点―政府:時事ドットコム (jiji.com)

 

とのことで、上記から現役世代(既に子供を産んでいる人達向けが中心)に対するもので、今までの対策と何が違んでしょーと思ってしまうのが第一印象。

 

では、少子化になった真因とは?(大きく3つあります)

1.産児制限

全く知らなかったのですが、そもそも日本は少子化政策を取ってきたから、少子化になったという事実です。いわゆる戦後の”産児制限”という政策です。これが少子化の発端となった要因です。

 

太平洋戦争時代まで話は遡ります。終戦当時、焼け野原となった日本でしたが、満州等、海外に住んでた人の引き揚げに加え、第1次ベビーブームが始まり、爆発的に人口が増えていきました。その当時の日本政府は、こんな狭い国土に7,000万人以上の人が住んでしまったら、抱えきれなくなってしまうという懸念を持っていました。


ここで、占領政策を進めていたGHQがでてきます。GHQとしては、何としても日本を2度と戦争を起こさせないとの目的から、人口増から国力をつけさせないよう、人口増加を押さえたいとの考えを持っていました。

 

その事がGHQ主導で進めた産児制限という政策につながりました。産児制限とは、その名の通り堕胎や避妊によって意図的に子供を数を減らし、制限をかけることです。

 

GHQ産児制限に、当初日本政府は反対していたが、結局は折れ、認めることになります。この政策が発端となり、日本人が子供を持つという事に抱く価値観自体を変えさせてしまったことが、その後ずっと日本の少子化に影響を与え続けることになりました。GHQに従った政府は、産児制限を推し進めるため、以下のようなことを実際に行っています。

  • 少子化のメリットをメディアを使ってアピール
  • 計画出産モデル村の登場
  • 中絶の合法化、避妊用具の供給
  • 少子化推奨映画の製作(松竹で)

等、ありとあらゆる方法で、出産や子供を持つという事に対する日本人のマインドを根こそぎ変えていったんです。

 

この施策の影響を受け、1946-1949年は毎年270万人ぐらい子供が産まれていたのが、その後一気に150万人まで落ち込み、第一次ベビーブームが終焉。

これを見ても団塊世代が日本の成長のドライバーとなったのは、確かだと思うんですけどね…。

出生数・出生率(人口千対)の年次推移 -明治32~平成12年-の図

図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 


一方で、戦前は多産多死で1,000人産んでも100人は無くなってしまう程リスクが高く、子供を沢山産んでいたという事もあると思います。5歳に至るまで死亡率も高く、乳幼児の死亡率は戦後劇的に改善しています。

 

赤ちゃんが無事に育つ国 : 乳児死亡率は世界最低レベル、母子手帳も貢献 | nippon.com

 

産児制限は、当時の人達だけでなく、その子供達の世代まで確実に大きな影響を与えました。今でも以下のような価値観が、どこかしらで私たちの中にも残ってしまっているはずです。

  • きちんと収入があり養っていけるようにならないと子供を持つことができない
  • 半端ものではだめ。子供は2人までが良い。
  • 家庭の中で子供を育て上げられない親はだめ
  • 子供を沢山産んでる人達は非国民 ←これは流石に今はもうないですかねw

このように、子供が産まれることに対して、ネガティブに捉えるように刷り込まれていったのです。今の70代ぐらいの親世代は、経済力がない人が子供を産むべきではないと、実際に思っている人が多いと思います。恐らく私の親もどちらかというとそう思っているはずです。

 

更に悲しい事実があり、この産児制限を進めたことによって、中絶も合法的に認められるようになり(=推奨される)、1957年頃の中絶割合は、なんと40%近くまで上昇しました。これはどう考えても異常です。これ程までに日本人の価値観を変えさせられたとは、今まで生きてきた中で全く知りませんでした。

2020年度の人工妊娠中絶届出件数 前年度比1割減 | 家族と健康 | 一般社団法人日本家族計画協会-JFPA-



上記にあげた産児制限を発端にした価値観の変化が、未婚化や晩婚化に影響をもたらしたのは紛れもない事実。

 

こうして、ゆるやかな二人っ子政策を取ってきた日本は、標準家庭(両親+子供2人=4人)となるもの、いわゆる核家族が当たり前の価値感となっていきました。当時の産業政策とも大きく絡んできますが、政府としても新築一戸建てやマンションを沢山建てたかったんですよね。なぜならば、GDPに占める建設費の割合が相当大きかったからです。(今でも10%ぐらいを占めている感じ)

 

太平洋ベルト(福岡、大阪、名古屋、横浜/川崎、東京)を中心として、結婚後、実家から独立して夫婦2人で住み、子供ができて3-4人の家族となる(=家を建ててくれるので、GDPに大きく寄与)。でも、今まで子育ては祖父母含めて大家族で見てたのはどうするのかというと、ここで、奥さんが子育てに専念する専業主婦という概念が生まれ始めます。結局のところ、親2人で5-6人の子供の面倒見るのは到底無理で、標準家庭である子供2人に落ち着いたという感じです。

 

また、大都市では、そもそもの家の作りの前提が家族4人ベースである3LDK等になっていきました。今の東京で、5LDK等の物件はあったとしても少なく、軽く数億はかかってしまって、普通の人にはとても買えないレベル。

 

子供の教育費はたしかにかかるけど、それよりも地価が高かったことが大きく影響してます。東京で子育てするのは、教育費の問題ではなく住居費の問題で少子化になっているとも言えます。

 

2.第3次ベビーブームを作れなかった

団塊ジュニア世代(1971年~74年生まれ)が就職氷河期とも重なり、ベビーブームを作れなかったことが、少子化問題に拍車をかけました。非正規雇用が増えたのも1990年頃からであり、男性の生涯未婚率もここから、どんどん高くなり、結婚自体しなくなってしまった。(男性の生涯未婚率、1950年1.7%、1990年 5-6%、2021年は3割程度まで上昇)

地方で急増…男性の生涯未婚率「35年で6倍超」が示すほの暗い未来予想図 女性の生涯未婚率は4%→15% | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

3.少子化対策が寄与せず

最後に、1990年以降に始めた少子化対策が上手く行かなったことです。1989年の出生率が1.57となり、前回丙午(ひのえうま)である1967年よりも下がり、日本政府は大騒ぎになり、ようやく少子化対策を打つ検討をし始めました。

 

丙午に生まれた女の子は、気性が激しい女の子になるとの迷信で、極端にその年の出生率が下がります。実際1967年の出生率は前年比で▲25%減少。

 

この丙午の数値を下回ってしまったのが1989年。大騒ぎはしたものの、結局実際の対策実施までに4年の時間がかかり、1994年から少子化対策を始動。

 

内容としては、保育所の量的拡大や低年齢児(0-2歳児)保育や延長欲しく等の多様な保育サービスの充実等。国/企業や地域社会も含めた社会全体で子育て支援をしていくことを狙いとしていたもの。その後、育児手当等の施策を取ったが、これらが上手くいかなかった。

 

結局のところ、現役世代の人に育児支援の支援や手当の拡充を行ったとしても、3人目を産むということにはつながらない。なぜなら、晩婚化が進み、3人目を産む頃には適齢期を逃してしまっており、出産リスクが高まってしまうから。

 

これらの要因から、合計特殊出生率が1.3近くまで大幅に下がることになっていくわけです。やはり、いくら育児支援を拡充しても、子を産む親が子供を持つという事に対する価値観を変えさせられてしまっていることが、やはり一番の要因。

図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移(図)
図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

では、これからの対策は?

① 早期結婚へのインセンティブ

25歳ぐらいまでに結婚すれば、何らかのインセンティブをあげる、または25歳までに子供を産めば、こういう特典があるなど、まずは政府主導で、若い内に結婚した方が良さそうだなーと若い人達に思わせることが大事。何かのイベントでご飯を食べに行く際には、補助金を貰えるとかも含めて。そもそも人に出会えず、結婚をしないこと(=事実婚含めて)が問題。

2021年の初婚平均年齢は31歳、1990年は28歳。この3歳は結構重要。結局は3人目を産むかどうかに大きく関わってくるので、晩婚化が進めば進む程、子供を多く産むモチベーションは下がってしまう。


② 移民に対する施策の向上

子供が大きくなるまでには時間がかかる。老人の介護だけでなく、子育ての方にも移民の方々にも働いてもらうようにしてもらう。税金を払ってくれているのに、参政権を与えていないのはおかしく、こういった権利等も見直すべき。


③ 婚外子に対する認識を変える

未婚のまま子供を産むという価値観に否定的、という日本人のマインドを変えるべき。フランスやスウェーデンでは5割程度は婚外子婚外子が持つ相続等の権利は改善されているが、認識自体を改めた方が良い。

 

標準家庭がベースで、子育ても夫婦だけでやるんですというのは、おかしい価値観。しかも、結婚したら子供は女が育てるものという勝手なイメージまで植え付けられてしまってきたのが、今までの日本の実情。

子供はお金がかかると思い込んでるだけであり、実際に教育費のウェイトはさほど重くはなく、むしろ35-40歳にもなってくればお金の問題ではなく、出産に関わる年齢が問題になってくる。
 
お年寄りの面倒を見なくてもよいように作ったのが年金であり、それを子育てにも仕向けるべき。若い人に投資することは、未来への投資になるはずなので。

 

共働きで家事、子育て、全てをやりくりしている女性は、本当にスーパーウーマンだと思います。日本ではワンオペ自体が当たり前のように受け入れられている節がありますが、これは普通ではないです。本当にやりすぎなぐらい、やっているのが今の日本です。

 

以前住んでいたシンガポールでは、多くの共働きの普通の家庭でも、メイドさん(フィリピン人の方)を雇っていましたし、台湾でも同様にメイドさんを使っているようです。

 

とにかく産児制限の影響で植え付けられた価値観を変えていくことに加えて、現状の共働きのオペレーション自体が普通ではないという事を理解し、少しでも状況を変えられるよう、行動を起こしていくことが大事なんだと思います。

 

私も共働き家族であり、まずは自分の家族に対して、自分ができる範囲で、より良い方向にいくようアクションを取っていきたいと思います!

 

ではでは、頑張っていきましょう。

Have a nice day!